優秀なリーダーに必要な資質の一つは、嫌われないこと。メンバーから嫌われないためにはどんな工夫が必要なのだろうか?1000人以上の経営者へのインタビューを15年にわたって続けてきた藤沢久美氏の最新刊『最高のリーダーは何もしない』からお送りする。

敵をつくらない人が、
結局いつも成し遂げる

経済が拡大していたころの日本であれば、ビジョンなきリーダーのもとでもなんとか経済は回ってきました。とはいえ、かつての日本の高度経済成長期はビジョンなきリーダーばかりだったかといえば、そうではありません。成長の真っただ中にあった日本にも、ビジョンあるリーダーはたしかに存在していました。

少し意外な印象を受ける方もいらっしゃるかもしれませんが、日本の高度経済成長の象徴的存在とも言える総理大臣・田中角榮氏は、ある意味、ビジョナリーな存在でした。「日本列島改造論」というビジョンで、日本国民をワクワクさせたリーダーです。

田中元総理のリーダーとしての考え方をよく表した言葉を、ある人から教えていただきました。それは「広大な中間地帯をつくれ」という言葉です。

「政治家たるもの、自分を好いてくれる人と嫌う人、どちらか一方が増えすぎても、掲げたビジョンを実現することはできない。熱烈な支持者がいる政治家には、同じくらいたくさんの反対派が生まれるし、熱烈な支持者はいきなり苛烈な批判者に反転する可能性がある。だからこそ、好きでも嫌いでもない『中間層』をどれだけつくるかが大切だ」というのが、この言葉の意味です。

これは企業でリーダーを務める人にとっても、参考になる考え方だと思います。とくに大企業では、「社内のある集団からは好かれ、他の集団からは嫌われている」といった人がリーダーになると、それは派閥に発展し、組織風土の悪化にもつながります。