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電子書籍の次は電子自費出版
出版の旧型ビジネスモデルに大変革を迫るLulu(ルル)

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第105回】 2010年7月28日
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 本のサイズや印刷部数によるが、たとえばペーパーバック版でポケットサイズの本を薄い40ページで製作、それを100部刷ると、出版コストは424ドル。1部あたり4.24ドルになる。ルルのサイトには、コスト計算機もついていて、自分が出版したい本のコストをあらかじめはじき出すこともできる。

 さて、その100部を自分のところへ送ってもらって、知人たちに配るというのも手だが、ルルには自費出版した本を販売するサービスもある。自費出版には、何だか胡散臭いイメージもあるのだが、こうした自費出版サイトで自分の小説を世に出したところ、売れに売れ、映画の原作にまでなったケースもある。

 今や大手出版社が認めてくれなくても、こうした自費出版サイトが登竜門になって、世に出る作家もあるというわけだ。音楽ですでに起こっていることが、文学など文字の世界でも起ころうとしているのである。

 ルルの販売サイトでは、書籍がカテゴリー別に分類され、そこで自分の本が掲載されるが、それ以外にも自分の店を出すような要領で、本を売ることもできる。本が2冊、3冊と増えるに従って、ルルの中の自分のページで本を売り、さらに読者コミュニティの議論も盛り上げながら、作家として活動していくのも、的はずれな夢でもないのだ。

販売と流通をルルに
移行させた大作家も

 こうしたルルの新しい出版形態に共鳴して、大手出版社から自作を引き上げ、ルルに販売と流通を移行させた大作家もいる。フォークナー賞を2度も受賞した人気作家、ジョン・エドガー・ワイドマンは、「自分の本を、もっと自分でコントロールしたい」「読者と直接つながりたい」という希望を持って、新作をルルから出版した。

 初めての著者にとっても、またワイドマン氏のような大作家にとっても、ルルの共通した魅力は、印税の高さである。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

ビジネスモデルの破壊者たち

シュンペーターの創造的破壊を地で行く世界の革新企業の最新動向と未来戦略を、シリコンバレー在住のジャーナリストがつぶさに分析します。

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