夫婦ゲンカなし。
――その理由は?
このコラムを書くためにさまざまなご夫婦に逢ったが、「夫婦ゲンカ? しなかったなあ」「楽しかったわね。もう一度やりたいくらい」というご夫婦が現れた。内心、「しまった、これじゃネタにならない」と思ったが、「ご機嫌なマイホーム探し」のヒントをたくさんもらった。
里中広太・果歩さん(仮名、37歳と35歳、共に会社員)はふたり暮らし。アメリカ留学中に知り合った。結婚5年目だが、これからも子どもはつくらないつもり。「どちらも仕事に専念したいタイプ。ウチは夫婦というよりパートナーって感じだから」と屈託なく笑う。
研究職の広太さんと外資系企業に勤める果歩さんの収入はほぼ同じ。世帯年収は約1500万円と、同世代ではかなり高いほうだ。広太さんの職場は完全フレックスタイム制なので、ごく自然に家事も家計管理も共有している。
住まいに求めるものは「癒し」で一致。エリアも「都心3区内が絶対条件」と明確だ。「都心は住居費や生活費が嵩むけれど、お金より時間が大切」と割り切っている。
都心の家賃18万円の賃貸マンションに住んでいたが、「自由にリフォームしたい」と、港区の中古マンションを4500万円弱で購入した。
休日は自転車で
マンション巡り
ふたりのマイホーム探しはとてもユニーク。ネットで下調べをした物件を一緒に自転車でまわる。下調べのとき、近隣の商店街や公園、寺や神社、飲食店情報まで詳しくチェックし、休日のお楽しみイベントに仕立て上げた。
「自転車って便利ですよ。周辺環境もよくわかるし、ここに住んだらどんな楽しみがあるかもイメージできる。マイホーム探しが目的だけど、街巡りの楽しさも満喫できて小旅行をしているみたい。ストレス解消になりました」と果歩さん。
東京育ちの広太さんも「都心にもこんなところが残っているのかと驚きました」と、趣味のカメラをいつも持参してパチリ、パチリ。お寺の境内で一休みしたり、地元で見つけた銭湯で一汗流してから食事をしたり、「恋人時代のデートを思い出した」という。