4月14日21時26分熊本県で発生した震度7の地震は、その後も断続的に続き、16日未明1時25分、震度6強の『本震』が疲れ切った被災者と救助活動に従事する人々を襲った。翌17日、徳洲会災害医療救援チーム(TDMAT)を前身とする災害医療救援活動団体、特定非営利法人TMATの「熊本地震災害医療本部」がある福岡徳洲会病院に訪ねた。(取材・撮影・文/医療ライター 井手ゆきえ)
整然と書き込まれたホワイトボード
慌てた様子がまったくない対策本部
粛々と作業が進められていた。16日未明の本震を受けた対策本部は混乱を極めていた、と思いきや、現在動いている医療チームの所在地、人員、ルートがホワイトボードに整然と書き込まれ、慌てた様子はまったくない。
携帯電話の呼び出し音がひっきりなしに鳴り響いてはいるものの、必要な資材、医薬品の種類を確認する倉掛真理子看護部長やロジスティックス担当・野口幸洋TMAT事務局長の声が途切れないことが緊迫感を伝えるのみだ。
倉掛看護部長の「抗生剤」「子どもの浣腸」という声が耳に入り、避難所生活の衛生環境や小さな子どもの食事に考えが飛んだ。
取材時点で被災地入りしているチームは、最も被害が大きい南阿蘇地域にいる3チームと、医療空白地帯に陥っていた御船町を拠点とする1チーム。看護師チームは地震直後から入所者につきそっていた南阿蘇の老人ホームの職員と交代し、当直業務を引き受けている。
さらに力合小・中学校で2チームが17日早朝から診療を開始した。また、神戸徳洲会病院チーム、生駒市立病院チームがそれぞれ救急車に乗り込み、湘南藤沢徳洲会病院チーム、成田富里徳洲会チームからの人員を合わせて15名が福岡の本部に向かっている最中だという。