写真共有をメインとしたSNSで、10代・20代の若者から支持を集めるインスタグラム。今議論されているのが、「若者文化の象徴とも言えるインスタで、おじさんとつながりたくない」という若者の声だ。実際にインスタグラムをやっている中年世代は、若者文化に入ることをどう感じているのか。ユーザーの声を聞くと、若者文化における“距離感”の重要性がわかってきた。(取材・文/有井太郎 編集協力/プレスラボ)

おじさんは入っちゃダメ?
ブログで盛り上がる「インスタ年齢問題」

増え始めた「インスタグラム中年」と繋がりたくない若者たちの心理とは、どんなものか

「お願いー 目上の方々、おじさんおばさんはインスタやらないで」

 30代以降の中年世代なら、イラ立ちを感じそうなこの一文。こうした書き出しで始まったある女性のブログが、今年大きな騒動となった。

 “インスタ”とは、友人と写真を共有したり、それにコメントしたりする「インスタグラム」のことで、SNSの一種だ。数あるSNSの中でも成長著しく、たとえば自分自身を撮影する「自撮り」がここ数年で定着したのも、その写真をインスタに載せて友達に見てもらうというゴールが生まれたから、と考えられる。

 この流行は世界的なもので、「自撮り」を意味する英語の「セルフィー」という言葉が一気に定着したらしい。おじさんの典型と言える筆者(30代)にとっては、到底ついていけない世界だ。

 実際、インスタは10代・20代の若者を中心に人気を得ていると言われる。そんななか、冒頭で紹介したブログは、インスタの人気上昇に伴い、中年世代にそれが普及することに対して、否定的な内容となっている。

 もちろん、このブログが看過されるわけはなく、ブログに対して「年齢でこんなことを言っちゃダメ」「自分たちが正義みたいな言い方やめなさいよ」というコメントがついている。

 ただし、批判的なコメントばかりではない。ブログの反応を見ると、決して少なくない数の賛同があったのも事実だ(それについては後述したい)。また、ブログの主張は別にして、確かにインスタグラムは若者文化の象徴であり、「みずみずしい世界」という印象がある。

 ある知人(38歳/男性)は、「インスタに写っている日常は全部セレブみたい。よく言うと、キラキラして見える」と言っていた。筆者としても、まぶしくて近寄りがたい、踏み込むには勇気がいる印象だ。

 とはいえ、人気を博すツールなら、今後私たち中年世代でも“インスタをやりたくなるとき”が来るかもしれない。過去、SNSの多くは若者から流行し、次第に中年世代に普及していった。