スマートフォンが爆発的な普及を見せるなか、足もとで利用者の伸びが著しいのが中高年層である。「このご時世、スマホを持っていないと恥ずかしい」という若者からの同調圧力も、彼らのスマホ利用を後押ししている。当初苦手意識を感じていたにもかかわらず、使い始めた途端、片時もスマホを手離せないほどハマッてしまう人も増えているという。しかし、「若者と同じようにスマホを使いこなしたい」という思いとは裏腹に、ITリテラシー不足の壁に翻弄されることが多い中高年ユーザーは、様々なトラブルに巻き込まれる可能性もある。「スマホ中高年」が陥り易い失敗やリスクには、どんなものがあるのか。リスクの実態と対策をリサーチしてみよう。(取材・文/プレスラボ・宮崎智之)
使い始めると苦手意識も吹っ飛ぶ?
「スマホ中高年」が急増する背景
日々デジタル化が進む日本社会で、「スマホ中高年」が急増している。これは、読んで字のごとく、スマートフォンにハマる40代以上のユーザーたちのことである。
中高年がスマホにハマると聞くと、違和感を覚える読者も多いかもしれない。これまで日本では、「スマホは若者が持つデジタルツール」と思われていたからだ。
子どもの頃からパソコンが家庭にあった20~30代の若い世代と比べ、40代以上の世代には、「社会に出てから初めてパソコンに触った」という人も少なくないだろう。ITリテラシーの面から見れば、若い世代と中高年世代の差は歴然としている。
さすがに、普通のケータイ(ガラケー)の使い方がよくわからないという人はほとんど見かけなくなったが、「小さなパソコン」と言われるほど高機能なスマホを、デジタル機器に疎いイメージの強い彼らが使いこなす姿は、想像しにくいかもしれない。
しかし、今やそんな先入観は覆されつつある。オフィス街で周囲を見回すと、中高年サラリーマンと思しきユーザーが、スマホを睨みながら交差点を歩いていたり、ガード下の飲み屋でスマホをいじりながらちびちびやっていたりする姿を見かけることも、珍しくなくなった。
彼らは、いかにしてスマホにハマったのか。中高年世代のスマホユーザーに話を聞くと、きっかけはやはり「周囲からの同調圧力」によるところが大きいようだ。使い始めてからは、自らも予想しなかったほどスマホ漬けになっている人も多いという。