その秘密は隣接する倉敷市の存在にある。人口72万人の岡山市に48万人の倉敷市が加わったため、勢力拡大に大貢献したのだ。片や広島にはさほど“有力”な郊外都市がない。東広島、福山、尾道市といったそこそこ人口が多い都市は、別の都市圏を形成している。「広島大学のある東広島市の一部は広島の通勤・通学圏内なのに……」(先述の本誌デスク)と嘆くも、肌感覚と現実のズレは大きい。

 もっとも、倉敷市は誇り高きかつての天領(江戸幕府の直轄地)であり、岡山市との合併構想が破談になったこともあるだけに、岡山都市圏に組み込まれている事実を知れば、市民の心中は穏やかではないはずだ。

人口増減数と
人口密度で見る
「勢い」「質」の評価

 ここまで論じてきた都市圏の実力だが、「やはり納得がいかない」という声が少なからず出るのは覚悟の上だ。最大の理由はグレーター都市圏の範囲であろう。

 大阪、岡山のように近隣の大都市を組み込めば、想像以上にランクアップする。下の「全国17大都市圏倍率ランキング」を見てほしい。都市圏人口が中心都市の人口の何倍になったかをランク付けしたものだが、上位には意外な名前を見つけることができる。

*出所は「全国17大都市圏人口ランキング」地図凡例横の注を参照。人口密度、倍率は四捨五入。同数で順位が違う場合は小数点以下の差による。都市圏倍率は、都市圏人口を中心都市の人口で割ったもの
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 人口34万人の前橋市である。そもそも政令指定都市ではないが、37万人と“格上”の高崎市と共同で都市圏を形成するなど人口を4.25倍に膨らまし、堂々の人口ランキング11位に滑り込んだ。北関東のライバル、宇都宮市も2.13倍とレバレッジを利かせている。半面、静岡、浜松市といった平成の大合併を経て政令指定都市になったところは、周辺の勢力圏をすでに取り込んでおり、人口拡大の効果は薄い。

 そういった意味で、都市圏の実力を推し量るには、人口の増減数といった「勢い」や、人口密度といった「質」を比べてみるのも興味深い。

 人口増減数で見ると東京は別格としても、福岡を筆頭に、仙台、広島といった地方の雄の吸引力が際立つ。半面、神戸、大阪の関西勢は苦戦している。先述の宇都宮、前橋、静岡も減少ぶりが目立つ。

 人口密度からはさらに福岡の躍進ぶりがうかがえる。「地元には東京、大阪に次ぐ三大都市と信じている人が少なからずいる」(福岡出身のビジネスマン)が、今回のランキング結果を見て本当に誤解しないか心配になるほどだ。

「週刊ダイヤモンド」2016年3月26日号特集「ニッポンご当地ランキング」より。