横浜、川崎、さいたま、千葉、相模原市といった近隣にある5五つの政令指定都市を取り込み、1都5県の149市町村まで、「東京都市圏」は広範囲に及ぶ

 あなたが仮に東京都との県境近くの千葉県内や埼玉県内に住んでいるとしよう。海外に行ってどこから来たかと尋ねられると、多くの人が「東京」と答えるのではないだろうか。千葉、埼玉では名前が知られていないというのが最大の理由かもしれないが、通勤や通学で都内に来ていれば、東京の一部と感じているはずだ。

 実はこれは、世界の“常識”からいっても間違いではない。大都市については、行政単位よりも、周辺の勢力圏を含む都市圏で論じられることが多いからだ。国連が発表している世界の大都市ランキングも対象は都市圏だ。

 そこで「週刊ダイヤモンド」では、最新の2015年国勢調査速報値で得られた人口を集計し、日本の17大都市圏のランキングを作成(下表参照)。本当の都市の実力をはじき出してみた。

 大都市圏の定義はさまざまあるが、ここでは金本良嗣・東京大学名誉教授らが提案した「都市雇用圏」を使った。人口が集中している中心都市と、通勤者の割合が10%以上を占める郊外都市を含めて都市圏とする考え方である。郊外都市自体への通勤者の割合が10%以上の都市も加えていくため、「グレーター都市圏」と呼んでも差し支えないくらいの規模になる。なお、都市圏の構成市町村は、10年国勢調査に基づき、経済産業省産業構造課が算出したものを使った。

 この人口ランキングで一目瞭然なのが、東京都市圏の突出ぶりである。横浜、川崎、さいたま、千葉、相模原市といった近隣にある五つの政令指定都市を取り込んで、圏域が1都5県の149市町村にまで及んでいる。定義は違うが、国連などが実施しているさまざまな調査でも東京は世界ナンバーワンなのだからそれも当然といえる(下ランキング参照)。

 ぶっちぎりの東京はさておき、意外だったのは2位大阪都市圏と3位名古屋都市圏の差である。何かと地盤沈下が取り沙汰される大阪だが、都市圏人口では名古屋に2倍以上の大差をつけるなど東京へのライバル心がだてではないことを見せつけた格好だ。