医療系サービス併設で安心

 次は、「拠点型サ高住」。サ高住の1階に、小規模型を併設するのは、「離れ」型と変わらないが、訪問診療や訪問看護の医療系サービスも同時に併設するスタイルである。訪問診療は、在宅療養支援診療所の登録をした診療所の活動であり、訪問看護は訪問看護ステーションの事業所の活動となる。即ち、診療所と訪問看護ステーションがテナントとして入って来る。

 介護サービスだけでなく医療系を組み込むことで、入居者が疾病を併発するなどして要介護状態が進み、重度になっても暮らし続けられる。遠くの大病院に入院しなくてもいい。さらに看取りまで安心して任せられる。

 小規模型と医療系サービスの事業者は、こうしたサ高住の入居者だけでなく、周辺の地域住民にもその活動範囲を広げていく。その地域の介護と医療、それに住まいの「拠点」としてサ高住が位置付けられることになる。

 介護と医療、住まいの連携によるサービス提供は、厚労省が将来の目標とする高齢者ケアプラン「地域包括ケアシステム」そのものに近付く。地域包括ケアについては、10年ほど前にその考え方が公表されて以来、様々な議論がなされてきた。特に、担い手を巡って、市町村自治体の他に地域包括支援センターやケアマネジャー、特養などが挙がり、迷走状態が続いている。

 そこへ、「サ高住+小規模型+訪問診療+訪問看護」という新しい形が名乗りを上げることになる。実は、この「拠点型サ高住」は、昨年4月に国交省の検討会が打ち出した提案である。

 そこでは、小規模型と並んで、「定期巡回随時対応型訪問介護看護」(24時間訪問)も加えて、4種類の介護・医療サービスのサ高住への併設を想定している。こうしたサービスが地域に開放されることで、「地域包括ケア」につながると断言している点が素晴らしい。

 その好例として、よく取り上げられるのが千葉県柏市の「豊四季台団地の再開発プロジェクト」である。UR都市機構の住宅団地を再整備しているもので、東京大学と柏市の三者がチームを作って取り組んできた。

 学研ココファンが105室のサ高住を運営し、長岡福祉協会が小規模型を担い、1階には診療所が2つ入居している。すぐ近くには訪問看護ステーションもある。

 都心部で実現したのは、株式会社アクセスが運営する「アクセスホーム庵」(東京都大田区)。4階建ての2~3階に6室ずつのサ高住、4階に小規模型を、1階には定員35人のデイサービスを併設している。

 サ高住の入居者の中で、軽度者はデイサービスの利用者となり、中重度者は小規模型を利用する。地域住民もデイサービスに通っているうちに、老化が進んで容体が悪化すれば、より手厚い介護が受けられる小規模型のサービスに切り替える。それでも自宅生活が難しくなれば、サ高住に入居する。

 現在の入居者のうち7人は、自宅からデイサービスに通っていた高齢者たちであるこうして、地域住民の暮らしを支え続けるのが「拠点型サ高住」の考え方といえるだろう。