3度目の不祥事の三菱自動車

 2000年代に2度の不祥事を起こした三菱自動車工業が、軽自動車の燃費データの改ざんを行ったことが明らかになりました。

 なぜこれほど不祥事を繰り返すのか理解しがたいのですが、先日の記者会見でひとつ明らかになったことがありました。それはとても重大な情報が社長に伝わっていなかったということです。

小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 三菱自動車は記者会見で、軽自動車で協業関係にある日産自動車から燃費の届出値とかい離があると指摘されたのが昨年11月、今年2月に合同調査を行って、3月にかい離が正式に判明し、4月13日になってようやく相川哲郎社長に報告が上がったと説明しています。

 昨年11月といえば、アメリカの環境保護局(EPA)の厳しい追及を受けてドイツのフォルクスワーゲンが排ガス不正を認め、自動車業界に激震が走っていたころです。そのさなかに日産から燃費データ不正の可能性を指摘されたのですから、現場の誰もが事の重大性を認識していたはず。それなのに社長にこの重要な問題を知らせることなく現場で処理しようとしていたのです。

 2000年代のリコール隠し事件では死者まで出し、企業倫理委員会などを設置して不正を繰り返さない対策を講じていたはずなのにまったくそれが機能せず、体質が改まることはありませんでした。

 もし三菱自動車が生き残るつもりなら、経営陣の総退陣は当然として、隠蔽体質が染みこんだ主要幹部の総入れ替えをすべきでしょう。それができないのであれば、どこか国内外のまともな会社に買われるべきです。

 多くの企業を見てきましたが、体質はそう簡単に変わるものではありません。簡単に体質が変わるなら、どこの会社も抜群のパフォーマンスを出しているはずです。