3つには、独立系の大型量販店への依存度が強い点である。家電業界の場合、流通機構における末端小売市場の主導権を大型量販店に握られているため、メーカーに対する大型量販店の価格交渉力が強く、大型量販店が安値競争に走り出しても、メーカー側にはそれを阻止して押し返すだけの抑止力が乏しい。いわば、癒着が甘えを助長している構図である。

 シャープと東芝の両社の再生をめぐっては、日本政府が大株主である官製ファンドの産業革新機構も再生案を提示して、名乗りを上げていた。機構案では、同機構が先導して、ソニーなど大手3社の液晶事業を集約し、筆頭株主でもある国策企業のジャパンディスプレイにシャープの液晶部門も統合する一方、シャープと東芝の家電部門を合体させる構想であった。

 しかし、官製ファンドが特定の民間企業の再生に出資して救済したとなれば、「民業を圧迫する」との誹りを免れない。国際的にも各国の独禁政策に抵触して、承認されない恐れもある。ただ、官製ファンドがシャープに対して提示した出資額の上限が3000億円であったのに対し、鴻海の提示額は当初の予定額から約1000億円を減額してなお3888億円であったため、シャープとしては迷うことなく妥当な選択を下すことができたのである。

止めを刺された超円高傾向の加速
明暗を分けた重電系3社と弱電系3社

 家電業界の凋落傾向は、決して今に始まったことではない。『社会実情データ図録』の輸出入を中心とした貿易から見た国際競争力指数で分析すると、家電の国際競争力はすでに1990年代から2000年代にかけて続落の一途を辿っている。その後もタイを震源とする1997年7月からのアジア通貨危機、米国経済のバブル崩壊に端を発した2007年8月からのサブプライムショック・リーマンショックで体力を消耗した。そして2011年10月には、遂に1ドル75円78銭を記録した史上最高値の超円高に襲われ、輸出依存度の高い家電各社は止めを刺されている。

 とりわけ、2011年は3月の東日本大震災に始まり、10月にはタイの大洪水にも見舞われて、国内外のサプライチェーンが打撃を受け、部品調達が逼迫する一方、主力のテレビ関連事業が国際的な値下げ競争で総崩れするなど、かつてない大荒れの1年となった。ちなみに、2011年度通期の最終損益を見ると、日立(3471憶円)、三菱(1120憶円)、東芝(737憶円)の重電系総合3社はいずれも黒字(カッコ内数字)であるのに対し、パナソニック(▲7722億円)、ソニー(▲4567憶円)、シャープ(▲3760億円)の弱電系家電3社はいずれも大赤字(カッコ内数字)となっており、落差が際立っている。