クラフトビールとは何か

 ところで、クラフトビールには明確な定義があるわけではない。

 先にも述べたように、小規模醸造ゆえの希少性の高さと、独特の味わいや香りが特徴とされる。この市場は、ビールの醸造免許の下限の製造量が、2000キロリットルから60キロリットルに緩和された94年に生まれた。

 94年~99年頃までの地ビールブーム時は、全国に300以上の醸造所が乱立する“バブル”状態になった。もっとも、地ビールは地域性が高いのに対し、クラフトビールは地域性に加えて味の幅や商品コンセプトの幅も広い。ビール業界では、地ビールはクラフトビールの概念の一部という認識が一般的となっている。

 一時の地ビールブームは終焉を迎えたものの、前述のように2000年代後半になって潮目が変わる。インターネット販売で販売を伸ばしたヤッホーブルーイングなどの登場で、ブームに火がつき始めた。

 そして、14年にキリンが参入を発表したことでメディア露出が一気に増加。クラフトビールブームが爆発したのである。

 今では、全国各地で毎週のようにビールイベントが開催され、若者を中心に賑わいを見せる。参加者がSNSにアップする写真は、巷で叫ばれる「若者のビール離れ」が嘘のように活気づいたものばかりだ。

 ついには、キリン以外の大手メーカーもブームを無視できなくなった。14年末から、アサヒやサントリービール、サッポロビールも続々と参入を発表。クラフトビールは、低迷するビール業界の“救世主”として期待を一身に集めることになった