リアルタイムで同じ
番組を見てきた日本人

 家庭用VTRが普及する以前は、当然ですがテレビ番組を放送時間に見るしかありません。放送の翌日には、職場や学校で前の晩に見たテレビの人気番組が話題に上りますから、大人も子どもも、何が何でも放送開始に間に合うように家に帰って来たものです。

 たとえVTRを持っていても、職場や学校で話題になった後に見たのでは意味もなく……ということで、少なくとも私の周りでは、なるべく早く帰宅して、録画はその日のうちに見ることが知らない間に常識になっていたような気がします。

 また、日本はアメリカなどと異なり、今日でもNHKと民放キー局が編制する番組が、ほぼ全国同一に放送されています。つまり、多くの国民が「リアルタイム」で「同じ番組」を見るのが日本のテレビ放送の在り方だったのです。

 もう一つは、私が物心ついた日から見ていた数々のテレビの人気番組自体に、家に走って帰ってでも見たいと思わせる力があったと思うことです。

 それは当然でしょう。テレビは「マスコミ四媒体」の頂点に長らく君臨し、民放に関していえば、他媒体に比べて圧倒的な広告収入を得ていたわけで、広告収入を増やしたい側の事情からも次々と目新しい番組が制作され、そこから新しい流行が続々と発信されて行ったのですから。

 その過程で、番組の新陳代謝も激しさを増していったため、「笑点」のような国民的人気の長寿番組は貴重なのだと思います。

 ついでに言えば、情報入手の手段が限定的だった時代の消費者は、常にマスメディアから新しい情報を求めていました。そのためテレビCMからもいくつもの流行が生まれ、それに比例して商品の認知も高まって行きました。

 ところが、インターネットの時代になり、この構図が大きく変わっていったことは、これまでも幾度となくお話しした通りです。