筆者 欠けているからこそその人らしいのであり、価値があると受けとめることができないのでしょうね。これが、人が学歴病になる大きな理由の1つだとも、私は思っています。

加藤 そもそも、人はそれぞれ生い立ちも生まれ育った家庭などもまるで違うわけです。たとえば、お父さんとお母さんはいつも仲がいい、という家庭に生まれた人がいます。おやじがおふくろを殴り、その泣き声を聞くのがつらくて、耳をふさいで、押し入れの中にいたという人もいるでしょう。母なるものを持った母親に育てられ、夕食が楽しかった人もいれば、虐待されながら育った人もいるわけです。

いまだに学歴主義の企業は
淘汰されていく運命に

筆者 私には、「学歴がないから、自分は役員になれない」と考える人の心理がわからないでもないのです。学歴が入社や昇進・昇格の際の決定的な材料になっている会社は、依然としてあるように思えるからです。

加藤 そのような企業は、いずれは淘汰されていくでしょう。学歴よりも、実力が問われる時代に必ずなります。

 私が40年以上前から回答者として関わるラジオ番組『テレホン人生相談』(ニッポン放送)が参考になります。この番組では、リスナーの方たちから家庭や家族、結婚や離婚、浮気、病気、仕事のことなどについて相談を受け、回答者(アドバイザー)がその場で答えていきます。

 スタッフが回答者を選ぶにあたり、学歴を判断材料にすることはありません。その回答者の実力だけで決まります。かつては、有名な大学教授や精神科医もたくさんいました。しかし、リスナーが「この相談者はいい」と納得し、満足しない場合は回答者を続けることができないのです。

筆者 だから、40年以上も人気番組であり続けることができるのですね。

加藤 回答者を長く続けているのは、幼児教育の大原敬子さんや、占星術家でエッセイストのマドモアゼル・愛さんなどです。お2人とも学者や医師などではないのです。

 それこそ、学歴もお金も社会的な地位も関係もない、生の実力だけの世界です。本来は、企業もこうあるべきなのでしょうね。