日本では家で亡くなる人が特に少ない

 しからば、こうした傾向は先進国共通なのかが気になる。図2にはヨーロッパの参加国と死亡場所を比較したデータを掲げた。これを見ると、日本は特に病院での死亡が多く、自宅での死亡が少ないことが分かる。

◆図2 死亡場所の世界比較

 病院で死亡する人はフランスでも6割以下、スウェーデン、オランダでは4割、3.5割とずっと少ない。海外では、自宅やナーシングホームなどで死亡する人が多いからである。

 ナーシングホームは、医療・福祉が一体化された、要介護者のための施設の呼称である。特に米国で発達したシステムで、生活の介助や機能訓練を行う。日本においては介護老人福祉施設や介護老人保健施設がその役割を果たしている。日本の場合、こうした施設で暮らしていても、最後の段階では病院に搬送する場合がほとんどなので、病院での死亡が多くなっていると考えられる。

 高齢者の多くが希望する通り、家や普段の暮らしの場で死を迎えることができない理由としては、在宅医療・介護の体制や住宅の質が十分でないことが挙げられている。これに加え、在宅の看取りについて、本人希望の優先度や延命措置の限度に関する本人・家族・医療介護関係者の社会的合意ができていないため、死に臨んではともかく病院へ移送し、病院でもいったん受け入れたからには対処するからという側面が無視できないだろう。