第1の特徴は資本ストックの両部門に対する配分比率には大きな変化は必要とされないということである。これは鉄鋼、化学など大規模な生産設備を必要とする資本財部門に比べて、消費財部門はそれほど大きな設備は必要としないという直感とも一致する。

 第2の特徴は現在総労働の76%を吸収している資本財部門から、全体の実に67%にあたる人員が消費財部門に移動しなければならないことが示されている。部門間の資源の移動は、資本に比べてスキルや再教育が必要な労働力において特に困難であるから、これは深刻である。

 実のところ、冒頭で述べた中国指導層における路線対立のひとつの焦点と、このことは深く関わっている。というのは、財政支出などによる景気刺激策は現状の産業構造を前提とするもので、それは産業構造の転換にとって否定的な効果を持つからである。したがって、李克強をはじめとした財政出動派を抑えた「権威人士」は、当面の対策よりもこうした長期の構造転換こそを重視したと言える。これは李克強をも抑えたのだから、習近平総書記サイドの考え方と言える。つまり、我々の計算結果は「権威人士」、習近平とつながる現在の中国の政策運営の基本的立場を支持することとなる。

 しかし、これは逆にいうと、中国経済の構造的偏りがいかに深刻であり、産業構造の転換がいかに困難を伴うものであるかを示している。

 この深刻さを示すために中国経済がこの間、ますます投資依存となってきていることを示すグラフ(図表3)もご覧願いたい。この依存度はリーマンショック後にさらに高まっているが、これが当時における4兆元の財政出動の帰結である。これが分かっているからこそ、今回の財政出動が抑えられているのである。

◆図表3 中国経済の投資依存度

中国経済は2033年にゼロ成長に陥る