最近、中国では民間投資の増加速度が急減速している

 最近、民間投資の下落が加速し、中国政府の上層部はこれを非常に重視している。5月4日、国務院常務会議はめずらしく決議を採択し、民間投資促進政策の実行状況についての監督・調査を行い、できるだけ早く中国の民間投資の活力を呼び起こすことを求めた。

 5月9日付の『人民日報』に掲載された「出だしの第1四半期の大勢を問う――権威筋が現在の中国経済を語る」という文章では、「民営企業投資が大幅に下落したことは、今まさに無視できないリスクポイントとなっている」と指摘されている。それに続いて、国家発展改革委員会は民間投資を安定させる7項目の措置を提出し、中国銀行業監督管理委員会もまた、銀行が自ら民間投資の促進業務について調査するように求めた。

 民間投資を安定させる政策シグナルがたびたび点滅したのは、今年に入ってから民間投資の成長速度が急落したことに始まる。今年1~4月、中国固定資産投資総額は昨年末の10%増をわずかに上回る10.5%となり、投資が凍りついていた中国経済にわずかながら期待感を持たせた。しかし投資総額の安定の背後には、民間投資と政府投資の「氷(民間)と火(政府)の二重世界」がある。

 今年1~4月、政府系投資が昨年末の9.5%増から20.6%に急増したのに対して、民間投資は10.1%増から5.2%増へと、ほぼ腰折れしている。民間投資の中国の固定資産投資における割合は60%を超えていて、投資成長の中心となっており、今回の民間投資の危機は、当然、政策決定層が非常に重くみるところとなった。

 ではなぜ、民間投資は急降下したのか。

原因1:実体経済の投資収益率の低迷

 財新ネット傘下にある投資研究と商業カウンセリング機関、莫尼塔(モニター)投資公司の研究員である鐘正生・張?両氏が、5月31日の『フィナンシャル・タイムズ』中国語版サイト上で発表した文章によれば、今年に入ってから民間投資の下落加速を招いた要因は3つある。まず、実体経済の投資収益率が低迷を続けていること、次に2015年以降、民間資金が実業を離れて金融市場に回り、民間投資の低迷をいっそう激化させていること、さらに、政府系投資が民間投資に対し、明らかな「押しのけ効果」を生んでいることである。