もう一つが、日本製品の品質に対する信頼度を一層高めること。最近では、インバウンドで購入頻度の高い日用品や消耗品の輸出が増えているという。日本で買った日用品や消耗品のファンとなり、母国に戻ってもその製品を購入するというサイクルである。「輸出は厳密な意味ではインバウンド需要ではないが、こうしたサイクルは広い意味でのインバウンド需要と言えるでしょう。こうした需要を拡大することも大切です」(菊池研究員)。

 その場合、日本製品の品質の高さをいかにして伝えるかがカギを握る。三菱総合研究所政策・経済研究センターの劉瀟瀟研究員は、例えば中国人の場合は、「圏子(チュエンズ)」という概念の理解が重要だと指摘する。圏子とは人間関係の広がりのこと。家族が最も親しい圏子で、職場の同僚やクラスメートなど、同程度の学力や経済力を持つグループで構成されることが多い。同じ圏子の中にいる人が訪日して体験した日本の製品やサービスの情報が、口コミとして圏子の中で大きな影響力を持つ。したがって、この圏子を意識したマーケティングが必要というわけだ。

 1月~5月の訪日外国人数は973万人。年換算すると約2330万人となり、15年比19%増となる。政府は20年の訪日外国人数4000万人を目標に掲げている。17年以降も15%増を維持し続ければ、20年には何とか4000万人をクリアできるが、10%増に鈍化すれば約3400万人にとどまる。これまでの訪日外国人の急増を受けて、「日本はやっぱり素晴らしいんだ」と自己陶酔している場合ではない。

 円高の長期化によって、日本の本当の魅力と努力が試される局面が始まった。