JR彦根駅にはJリーグチーム誕生を祝う横断幕が張られている Photo by Naoto Fujie
Jクラブが一度も存在しない、いわゆる「空白県」の歴史を歩んできた滋賀県で、今シーズンから待望のJリーグへの参入を果たしたレイラック滋賀が、一生に一度のホーム初陣で鮮やかな勝利をあげた。ロアッソ熊本を1-0で振り切った8日の一戦の舞台裏では、就任して4年目の河原一賢オーナーをはじめ、滋賀に関わるさまざまな人々が思いをひとつにして戦っていた。(ノンフィクションライター 藤江直人)
試合中に携帯する白色の小さな袋
中には亡き妻の遺骨が
ピンチを迎えるたびに、レイラック滋賀のオーナー、河原一賢さんはスーツの右ポケットに右手を伸ばしていた。しのばせていた白色の小さな袋を握り締めながら、チームの勝利を一緒に願うためだ。
袋のなかには何が入っていたのか。ちょっぴり照れくさそうに河原オーナーが明かしてくれた。
「家内の遺骨です。遺骨を分骨してもらって、僕は試合中にこうしてずっと持っているんです。今日の試合でも、後半アディショナルタイムのピンチのときにはグッと握り締めていました」
袋を取り出しながら河原オーナーが説明してくれたのは、ロアッソ熊本に1-0で勝利した8日の試合直後だった。今シーズンからJ3リーグ参入を果たし、滋賀県民が待ち焦がれてきた初めてのJクラブになった滋賀はこの日、彦根市内にあるホームの平和堂HATOスタジアムで歴史的な節目を迎えた。
Jリーグは今シーズンから8月第1週に開幕し、年をまたいで翌年5月最終週に閉幕するスケジュールに改められている。いわゆる秋春制へのシーズン移行に伴い、空白期間が生じる2026年の上半期に、J1からJ3までの全60チームが参加する百年構想リーグを2月第1週から開催している。







