SNSの台頭と相まって話題になった「セルフブランディング」。最近は10代でもSNS上で“キャラをつくる”ことが珍しくないという。キャラを際立たせ、自分の強みを人にアピールするのがセルフブランディングだが、方法を間違えると「イタい」「見ていられない」と思われることも。他人から敬遠されるようなセルフブランディング、あなたもやってしまっていないだろうか。(取材・文/上野 哲)
「この人、イタ過ぎる!」
SNSに溢れるセルフブランディング
「ほら、たとえばこういう告知が2日に1回のペースで投稿されるんですよ。彼女は、Facebookの友達はみんな“自分劇場”の観客だと思ってるんじゃないかな」
安達さん(仮名・30代男性)はスマホ画面に写ったそのFacebookページをこちらに見せながら言った。画面では、満面の笑みを浮かべた女性がプロデューサーだという男性と肩を並べている。フリーランスで活動する女性は、その日に男性と「対談」を行ったらしく、その記事がネット上で近々公開されるという。
「それなら記事が公開されたときだけ告知すればいい。なんでわざわざ、対談をした日にもその様子をアップするのかといったら、やっぱりSNSで華やかな露出を増やしたいからなんですよね。セルフブランディングで名を高めたと思っている人たちは、競うように自分の告知をする。告知することがないと、自分の価値が落ちた気分になるんじゃないですかね」
ネット上で行われる「セルフブランディング」。ツイッターやFacebookが流行り始めた2010年頃から聞かれるようになった言葉だ。フリーランスとして働く人や、個人的な活動のPRのために行われることが多く、最近は10代の中にもツイッターやインスタグラムでキャラをつくり、ファン集めに勤しむ学生がいるという。
その目的は、仕事の営業活動の一環としてのこともあれば、単に承認欲求を満たすためだけのこともある。
実際にフォロワー数は、ビジネス的にも人気の「指標」と捉えられている面がある。有名企業がフォロワー数の多い個人に仕事を発注したり、ネット上で公開した作品が人気になったことをきっかけに出版に漕ぎ着ける人もいる。それを考えると、SNSを使ったセルフブランディングは決して意味のない行動ではないだろう。
しかし、ブランディングは諸刃の剣。一歩間違えるとイメージアップどころか嫌われることにもなりかねない。ブランディングは基本的に自己アピールだが、自己アピールは嫉妬の対象になりやすいからだ。