東芝と米ウエスタンデジタル(WD)は、四日市工場(三重県)のフラッシュメモリーの増産のため、2016~18年度の3ヵ年で合計1.4兆円を投資する。WDグループで東芝との提携を担当するサンディスク日本法人の小池淳義社長に、増強投資の狙いを聞いた。(「週刊ダイヤモンド」編集部・村井令二)

――フラッシュメモリーを共同生産する四日市工場の増産で、東芝が8600億円、米ウエスタンデジタル(WD)も50億ドルという3ヵ年の投資額を発表しました。

こいけ・あつよし
サンディスク日本法人社長 兼 ウエスタンデジタル(WD)シニアバイスプレジデント、工学博士/千葉県出身。1978年早稲田大学大学院理工学研究科修了、同年日立製作所入社。99年半導体グループ生産統括本部生産技術本部本部長、2000年トレセンティテクノロジーズ取締役生産技術本部長、02年社長、同年東北大学電子工学博士号取得、05年ルネサステクノロジ技師長、06年からサンディスク社長。16年ウエスタンデジタル(WD)のサンディスク買収に伴って現職  Photo:Kazutoshi Sumitomo

 米国企業なので、通常は3年先の投資額まで詳しい数字を公表することはないのですが、(経営再建で半導体をコア事業に据えた)東芝が特別の事情で投資額を公表したので、それに合わせてわれわれも規模感をお話ししました。

 東芝との関係は揺るぎないという証明です。この共同投資で次世代製品の3次元(3D)メモリーの量産を本格的に始めます。これまで通り(製造装置の)折半投資で、競争力を高めていきます。

――WD・東芝連合は、3D分野で先行する韓国サムスン電子にどう対抗しますか。

 3Dの量産そのものはライバル(サムスン)が早かったかもしれませんが、われわれの連合は従来の2次元(2D)メモリーの方がコスト面で競争力があったので乗り出さなかっただけ。コストを無視して性能だけを望む顧客はいないので、技術だけ先行すればいいとは思いません。今でも2Dメモリーの競争力は優れているので、3Dとのバランスでいかにコストを下げていくかが勝敗を分けていくでしょう。