「酒のCMとは思えない。セクハラで時代錯誤」「(即席麺から)虫が出てきた」「あの○○さん夫婦がうちの店になんとご来店!」「価格の設定がひど過ぎる」
ツイッターなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)によるそうしたつぶやきをきっかけにして、インターネット上で企業や個人に対して非難の声が集中し、瞬く間に拡散する「ネット炎上」。
ネット利用者のうち、SNSを使う人の割合が7割を超えて広く普及する中で、炎上件数は日増しに増加しており、事例はもはや枚挙にいとまがない。
中でも、企業がやり玉に挙げられるネット炎上は、大きな経営リスクの一つだ。
ネット上の匿名の投稿にすぎないなどと、高をくくった対応をすることで、企業や商品の評価を一気に落とし、最悪の場合、中長期の業績や株価にまで影響が及んでしまうような事例が発生しているからだ。
保険会社として、企業を取り巻くそうした新たな経営リスクに対応できないか──。
損保ジャパン日本興亜の大野真樹がそうした思いを抱いたのは、今から2年半前の2015年夏のことだ。
当時大野は、サイバー攻撃に伴うシステム復旧費用などを補償する「サイバー保険」の開発に携わっており、ネットを起点にした損害リスクに、日々思いを巡らせていたことが発想のきっかけになったという。