実際に動く恐竜を見たかった男が実現「超リアル恐竜ショー」の迫真 金丸賀也・ON-ART代表取締役 Photo by Ryosuke Shimizu

 まるで、恐竜が生きているかのように目の前で躍動する、世界初のライブショー、DINO-A-LIVE(ディノアライブ)。

 記者は2017年5月、実際にこのショーを見たが、あまりの迫力に腰を抜かしそうになった。

 俊敏に迫ってくる恐竜の表情やしぐさは自然で、作り物であることを忘れてしまう。本物の恐竜は見たことがないが、まさしく“リアル”という表現がぴったり。

 さらに、観客の前に柵はなく、恐竜は自由自在に動き回る。時には観客に襲い掛かってくる。初体験に脳みそが揺さぶられて、言葉が出ない。そんな空間だった。

 観客にかみついたり、頭の上すれすれを尻尾が通り過ぎたりするから、どうやらプログラムや遠隔操作ではなく、人が中に入って操縦していそうだ……。どうすれば、あんな重そうなものをあれほど滑らかに動かせるのだろうか。

 技術力の高さを感じたので、海外企業や大企業が開発したのかと勝手に思っていたが、調べてみると埼玉県にスタジオを持つ社員5人の会社「ON-ART」が技術開発からショーの運営まで行っているという。

 このショーは、実際に動く恐竜を見たいと思った男の執念と技術の結晶なのである。

軽量化が最大の悩み
同時に重さの演出も

 ON-ARTの金丸賀也は東京藝術大学を卒業すると、NHKにデザイナーとして就職。3年で退職し、その後はフリーで百貨店や博物館の壁画や展示物の造形を手掛けるようになる。他にも、「メカが大好き」なため、からくり時計の製作などにも携わった。

 そんな金丸の心に「恐竜を作りたい」という思いが生まれたのは、ひょんなことからだった。