ファーウェイ社旗Photo:123RF

 5月上旬、米トランプ政権による対中関税「第4弾」の表明を受けて、ある素材メーカー首脳は、社内に大号令を掛けた。「これで顧客によるサプライチェーンの見直しは決定的になった。顧客から生産・調達情報をくまなく収集せよ」──。

 米中による関税合戦は、自由貿易ルールを前提に米中ビジネスの成長戦略を構築してきた日系メーカーにとって痛手だ。

 これまで、米中経済の先行き不透明を言い訳にして、対米・対中投資の姿勢を決めかねてきた日本企業も重い腰を上げつつある。米中分断の経済圏を想定して、生産・調達・販売体制をシフトさせる動きが広がっているのだ。

 また、米国が“最もつぶしたい企業”として狙い撃ちする中国ファーウェイへの制裁圧力は強まるばかりだ。ファーウェイを重要供給先としてきた日本の電子部品・半導体メーカーにとっては大きな試練。顧客を開拓するなど“ファーウェイ切り”をするのか。あるいは、対中投資をさらに積極化させて中国での地産地消を進めるのか、決断を迫られている。