日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告東京地裁に入る日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(2019年5月23日撮影) Photo:JIJI

昨年の大みそかに発覚した日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告(65)の海外逃亡劇は、世界に大きな衝撃を与えた。新幹線やプライベートジェット、音楽機器のケース、グリーンベレー経験者の手引き…。年が明けて、ハリウッド映画さながらの逃亡方法やルートが明らかになってきた。日本の司法制度に不満を訴え、無罪を主張していたゴーン被告。しかし、結果的には戦わずして逃げたことになり、検察側にとっては「不戦勝」になる可能性が濃厚だ。何とも煮え切らない幕引きになりそうだが、一方で「本音では(検察側は)ほっとしている部分もあるのではないか」と指摘する声も聞かれる。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

箱に隠れてジェット乗り込み?

 ゴーン被告について、東京地検と警視庁が不正な手段で出国したとして入管難民法違反容疑で捜査。足取りについては、防犯カメラの映像を次々にたどっていく「リレー方式」という捜査手法で判明した。

 全国紙社会部デスクによると、ゴーン被告は昨年12月29日午後2時半ごろ、保釈中の住居となっていた東京都港区の自宅から1人で外出し、同区内のホテルで男性2人と合流。午後4時半ごろ、品川駅をこの2人と歩く姿が確認されている。

 3人は東海道新幹線に乗車し、午後7時半ごろに新大阪駅で降車。タクシーに乗り、午後8時過ぎ、関西空港近くのホテルに到着した。