ニューヨークPhoto:Reuters

 急成長中のクラウドコンピューティング企業、ボックスのアーロン・レヴィ共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は4年前、赤れんがの新築ビルにオフィスを移転し、シリコンバレーらしい装飾を施した。すなわちしゃれたカフェテリア、オレンジのハンモックがある共有スペース、コンブチャやコールド・ブリュー・コーヒーがいつでも飲めるバーなどだ。

 レヴィCEOや同社社員は8週間前からオフィスに出勤していない。だが同氏はオフィスがなくても業務はスムーズだと話す。販売チームはより多くの顧客と接触し、毎週開く全社員ミーティングの参加率が上昇した。また出張がないため、同氏自身は仕事に割ける時間が増えたという。

「通勤をなくし、ビジネス会議のために飛行機に搭乗する必要をなくし、仕事に紛れ込んでいた多くの雑事を排除できる」。柔軟な働き方を提唱するレヴィ氏はこう話す。

 レヴィ氏はたとえ安全に職場に戻れる時が来ても、ハイテク企業の多くは従業員に通勤しない選択肢を認めるとみている。そうなれば、シリコンバレーをはるかに超えて労働力が分散するだろう。

 シリコンバレー周辺に広大なキャンパスを構えるフェイスブックやアルファベット傘下のグーグル、アップルなどの巨大ハイテク企業は近年、そうしたオフィスに一段と投資してきた。総額50億ドル(約5360億円)をかけたアップルのスペースシップ型本社やサンフランスシスコの一等地にセールスフォース・ドットコムが建設した61階建てタワー、アマゾン・ドット・コムのシアトル本社に作られた植物園のような球体型オフィスなどだ。