――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJのチーフコメンテーター
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新型コロナウイルスが引き起こした危機は、政治的に分断された米国を団結させるような激しいショックになると一時は思われた。しかしこの危機は、いつもの党派色による分断をますます深めている。
その理由を理解するためにはまず、今回のパンデミックの影響が政党の区分に沿って表れている状況を見る必要がある。赤(共和党)と青(民主党)に分断された両サイドの人々は、それぞれ不当な重荷を背負わされていると感じている。
米国の州単位の政治勢力は現在、両党の間でほぼ均衡している。26州の知事は共和党系で、24州の知事は民主党系だ。しかし、赤い州と青い州に降りかかっているコロナウイルスの影響は、均等に近いとはとても言えない。
感染が確認された人の3分の2は、民主党系知事の州で占められている。感染者総数で見ると、上位7州のうち6州が民主党系知事の州だ。これら6州の感染者数の合計は、全国の感染者数のほぼ半分に相当する。6州合わせた人口が全国の約3分の1にすぎないにもかかわらずだ。
新型コロナウイルスによる死者の数でも、同様の傾向が見られる。死者数が最も多い9州のうち、8州が民主党系知事の州だ。人口当たりの死者数で見ても、上位9州のうち8州が民主党系知事の州となっている。