テレワーク嫌いの上司の説得テレワーク嫌いの上司を説得するのは大変です(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新型コロナウイルスの第2波への不安が高まる中、再びテレワーク環境を整えることが急務になっています。しかし、緊急事態宣言の解除後、通常勤務に戻った企業も多く、テレワークの浸透には課題が山積している状態です。これまで数多くの企業における組織の問題に向き合ってきた、リクルートマネジメントソリューションズ シニアコンサルタントの武藤久美子さんが、「これから」を見据える企業が直面しているテレワークのお悩みに答えます。

【経営層・人事部門のお悩み(1)】
小売業でもテレワークができる仕組みは?

Q.小売業で働いています。テレワークは不可能にも思えますが、一部の店舗スタッフだけでもテレワークができるような仕組みは作れませんか?

 小売業は、確かにテレワークが難しい業種や職種です。しかし、そのような中でもチャレンジしている企業があります。私がコンサルティングを担当したある小売業のお客様では、「店長の在宅勤務制度」を導入しました。

 もともとは店長本人、経営層、アルバイトなどの誰もが「店長は開店から閉店まで店にいないといけない存在」「店で起きていることは何でも把握できているべき」だと思い込んでいました。しかし、店長を務める社員らの年齢も上がり、ライフイベントとして介護に直面する人も出てきていました。こういった状況の中で、「店長に場所にとらわれず仕事をしてほしい」「将来の店長候補も育てたい(女性活躍推進も目指す)」という観点から、店長にテレワークに挑戦してもらおうとチャレンジが始まりました。

 まず、店長に、「誰にも邪魔されずに集中できる環境でしたい仕事はないか」「店舗ではなく自宅でする方が適した業務はないか」「本当は実施した方がいいが、なかなか手をつけられていない業務は何か」をヒアリングし、業務分析をしました。その結果、店長は毎日、開店から閉店まで必ず店にいるわけではないことがわかりました。店長会議や研修などで週1~2回は店を留守にしていたのです。それでも店の運営は滞りなく行われていました。