そこで店長がテレワークを行うと決めた週1回の“店長不在日”に向けて、店長の業務をすべてリストアップする作業を行いました。全業務のうち1割は、年に1回程度のイレギュラーな業務であり、残り8割は実践さえ積めば、店長以外も対応できる業務であることもわかりました。若手が店長業務の棚卸しをし、実践を3カ月続けるうちに、彼らは店長業務の8割を担えるまでに成長を遂げました。その頃には“いつでも店長になれる人”のリストもできあがりました。

 さで、ここまで「働きやすさ≒テレワーク」のようにお話ししてきましたが、小売業のようにテレワークが難しい業種・職種はほかにも存在します。そのような企業では、テレワークという方法にとらわれず広い意味での「働きやすさ」を追求する、模索するのも一考です。

 その場合の出発点になるのが、「社員や、当社に入社したい人は、当社に何を期待しているのだろうか」「社員がより力を発揮することを阻害する要因はなんだろうか」と考えることです。それを突き詰めていくことで、その企業ならではの「働きやすさ」を考えることにつながるでしょう。

【経営層・人事部門のお悩み(2)】
テレワークを好ましく思わない経営層を説得するには?

Q.コロナ終息後も、テレワークは継続したいと考えています。あまりテレワークを好ましく思っていない経営層を説得するにはどうすればいいですか?

 現在は、緊急事態宣言下でテレワークを「一斉に」「急激に」「大規模に」行ったところから、オンラインとオフラインのちょうどいい働き方を模索する段階になっています。しかし、すでに以前と同じ、全員出社の通常勤務に戻っている企業も少なくありません。

 そうした状況下でまずお伝えしたいのが、多くの経営層は今回の「一斉に」「急激に」「大規模に」行われたテレワークを、そのまま「恒常的なテレワーク」として続けるのは難しいと認識している点です。