イエローハット社長・堀江康生氏イエローハット社長・堀江康生氏 Photo by Michio Nakagawa

新車販売が伸び悩む中、カー用品販売大手のイエローハットの業績が絶好調だ。かつては多角化の失敗などで経営危機に陥ったが、堀江康生社長に交代後は現在まで12年連続の増収を続け、足元3年は過去最高益を更新している。瀕死の会社をいかにしてV字回復したのか、堀江社長が全2回のインタビューで語り尽くした(第2回も同日公開)。(取材・構成/ダイヤモンド編集部 松本裕樹)

多角化の失敗で経営危機
経営改革案が通らず辞表を提出

 当社は昨年度に3期連続で過去最高益を更新し、さらに今年度は昨年度を上回る当期純利益を計上する見込みです。株価も私が社長就任後の約13年間で10倍以上に上昇しました。

 経営の再建に自信はありましたが、ここまで業績が拡大するとは正直、思ってはいませんでした。

 私が社長に就任したのは2008年10月。当時の業績は非常に厳しい状況でした。

 2000年以降、中古自動車販売、ホームセンター、海外出店、携帯電話販売、介護用品販売など、事業の多角化を進めたが失敗。2004年ごろから経営不振に陥り、本業であるカー用品販売にも悪影響が出始めました。

 そして08年3月期には初めて営業赤字に転落。社内は活気がなくなり、会社の将来に不安を感じた社員の多くが辞めていきました。

 私の部下もずいぶんと辞めましたが、次の就職先が決まった社員たちを引き留めることはしませんでした。「会社はこうやって潰れていくんだな」と社員たちが話していたことを今も鮮明に覚えています。

 実は私も会社を辞めると決めていました。

 業績悪化の一番の問題は、カー用品販売という本業がおろそかになっていることでした。多角化によって他の事業に多くのエネルギーが割かれてしまった。しかも、結局、それらは全部失敗したのですから、本業の強化に注力すべきだったのです。

 当時常務だった私は経営改革に向けた提案をしました。ところが、全く受け入れてもらえませんでした。(イエローハットの)フランチャイズ店のオーナーさんたちから「会社を辞めないでくれ」「あんたが最後のとりでだ」などと言われていましたが、私がいても何もできないなら、会社にいても仕方がないと思い、当時の副社長に辞表を出しました。しかし、受け取ってはもらえませんでした。