もはやデジタル・マーケティングではなく、マーケティングのデジタル化が現実――Adobe Summit 2014、現地レポート

3月25日から3日間にわたって、米国ソルトレイクシティにてアドビ・システムズのデジタルマーケティングに関する年次イベント「Adobe Summit 2014」が開催された。業界屈指の統合マーケティング・ソリューションである「アドビ・マーケティング・クラウド」のアップデートを中心に、デジタル・マーケティング分野での多くのパートナー・ソリューションやユーザー事例が披露され、6500名に及ぶ記録的な参加者の熱気に沸いた。日本からも80名以上のユーザー企業・パートナー企業の参加者があり、関心の高さをうかがわせる。ダイヤモンド・オンラインは、現地にてアドビのデジタル・マーケティング事業戦略のリーダーであるブラッド・レンチャー氏に単独インタビューを行ったので、初日キーノートセッションの概要と合わせて紹介する。

もはやデジタル・マーケティングではなく、マーケティングのデジタル化が現実――Adobe Summit 2014、現地レポート初日のキーノートに登壇したブラッド・レンチャー氏

「マーケティングの再創造」を謳う

「消費者行動のシフトが企業に革命を迫っている。これまでのマーケティングは一から作り直されなくてはいけない。とてもエキサイティングなことではないか」

 初日に行われたキーノートセッション(オープニング基調講演)の冒頭に登壇したブラッド・レンチャー氏(デジタル・マーケティング事業部門担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー)は、こう高らかに宣言した。

「マーケティングの再創造」。それが「Adobe Summit 2014」のテーマだ。このモバイルデジタルの時代において、消費者に受け入れられた変化は、それに適応できない企業をどんどん淘汰させる圧力となっている。消費者は、店舗に行く前にウェブで情報を調べ、SNSを通じてほかのユーザーの意見を集め、モバイルデバイスを片時も手放さない。

 これらの変化から目を背けて従来のマーケティング手法に固執し続けるのか、それとも消費者とのタッチポイントの拡大、さらにデジタル化、リアルタイム化の好機ととらえ、さまざまなチャネルに対して一貫したユーザー・エクスペリエンス(顧客経験)を効果的に提供できる企業となるための自己変革に踏み出すか、企業の決断が問われているという指摘だ。

 アドビ・マーケティング・クラウド(以下、マーケティング・クラウド)は、デジタル・マーケティングのソリューションとはいいつつも、もはやウェブやソーシャルといったデジタル分野でのマーケティング活動を最適化するためのソリューションの位置づけにとどまらない。コールセンターやダイレクトメールなどオフラインのマーケティング・プロセスをもカバーするものになりつつある。