三菱電機が、お得意の堅実な経営を進化させている。今期もすでに決算見通しを2回上方修正し、過去最高益は確実。ひたすら地味だが、着実に成長を続ける経営の実態に迫る。

「強い事業をより強くし、さらに新たな強い事業を継続的に創出していく」

 昨年11月、都内で開かれた経営戦略説明会には、熱弁を振るう三菱電機の柵山正樹社長の姿があった。2020年度までに、売上高を現状の4兆円強から5兆円以上に、営業利益率を8%以上にする成長目標を訴えていた。

 実は、三菱電機は毎年5月と11月の2回、経営戦略を発表しているのだが、通常、社長が登壇するのは5月のみ。だが、この年の5月に就任したばかりの柵山社長は11月も自ら、再び報道陣やアナリストの前に姿を現し、業績の好調ぶりをアピールした。

 09年度に3兆円台前半に落ち込んだ売上高は、13年度に4兆円を超え、営業利益率も2%台から7%台を回復する見込み。今期はすでに決算見通しを2回上方修正しており、さらに「現状の見通しも為替の影響で上回る可能性が高い」(証券アナリスト)。

 過去最大の赤字から劇的な復活を見せた日立製作所や、東芝の経営改善のニュースが先行しがちだが、重電3社で、売上高の水準がリーマンショック前を超えたのは三菱電機だけ。しかも、営業利益率では、日立が6%、東芝が4.9%であるのに対し、7%でトップの見込みとなっている。