山西健一郎社長(左)からトップを引き継ぎ、新社長となる柵山正樹副社長(右)
Photo by Takahisa Suzuki

 三菱電機が4月1日付で、電力システム事業の部門を再編することがわかった。現在、事業部の一層下にあるビジネスを、事業部へ格上げするかたちだ。

 その新しい事業部には、原子力発電・医療システム(粒子線治療装置など)、火力を中心とした原子力以外の発電システム、電力流通の三つが格上げになる見通しだ。これに合わせて、従来は国内と海外で別部門になっていた営業部隊が統合され、それぞれの事業部に配置されることになる。

 注目すべきポイントは、この動きがいわば、重電メーカーの“発送電分離”を意図している点だ。

 現在、政府による電力システム改革の議論では、最終段階となる2018~20年の間に、電力会社の発電部門と送電部門を別会社にする、発送電分離を実現するというロードマップになっている。

 ところが、その電力会社を得意先とする三菱電機が、このタイミングで電力業界に先駆けて、発電と送電の部門を分離してしまうというのだ。実現を見越して「いち早く顧客別に事業部をくくり出した」(三菱電機幹部)かたちだ。

「海外ではすでに多くの国で電力業界の発送電分離が進んでいる」(複数の重電業界幹部)ため、違和感なく移行できる算段だという。

社長交代でさらなる成長へ

 ただ、その一方で、新しい事業部の運営はこれまでと比べて、難易度が高くなる。

 というのも、これまでは原子力や火力発電システム、電力流通といった事業が一つの事業部にあったことで、各ビジネスの“波”を吸収し合っていた面が大きい。ところが、それらを細分化したことで、今度は“波”をもろに受けることになる。