かつてカルロス・ゴーン氏の右腕として、日産自動車復活の最前線に立った男が、いま初めて沈黙を破る。自動車業界一筋50年、元日産COO(最高執行責任者)の志賀俊之氏が、自らの半生と日本の自動車産業の光と影を重ね合わせながらつづる大型連載が始動する。「ゴーン経営」が残した功罪とは何だったのか。なぜ日産は再び経営危機に陥ったのか――。志賀氏は、こう語る。「ゴーン氏と歩んだ14年間、苦難も喜びも分かち合ってきた私が、その経営の神髄と誤りを客観的な記録として残したい。現在の日産の経営危機を招いた“共犯者”の志賀が、何を今更、という非難は覚悟の上だ。しかし、過去の学びが日産の復活につながると信じ、筆を執る決意をした」志賀氏を突き動かすのは、「100年に1度」の大転換期に直面する日本の自動車産業への強烈な危機感だ。本連載では、日産時代の史実と教訓を掘り下げる【過去編】と、向こう50年のモビリティ産業を展望する【ミライ編】を、タイムマシンで時代を行き来するように描いていく。過去の成功と失敗から何を学び、ミライをどう描くのか。半世紀にわたり産業の中枢を歩んできた当事者が、全知見と覚悟を懸けてつづる、混迷するモビリティ産業への渾身の“遺言”である。