経済を自分の問題として捉える――訳者より
本書は、ギリシャで財務大臣を務めたヤニス・バルファキスが、十代半ばの娘に向けて、「経済についてきちんと話すことができるように」という想いから、できるだけ専門用語を使わず、地に足のついた、血の通った言葉で経済について語ったものです。
本書を原書で読み、「圧倒された」というブレイディみかこさんは、「優しく、易しく、そして面白く資本主義について語った愛と叡智の書」と評しています。
その語りは、娘からの「なぜ格差が存在するのか」という問いに、著者なりの答えを出していくかたちで進んでいきます。その過程で、経済がどのように生まれたかにさかのぼり、金融の役割や資本主義の歴史と功罪について、小説やSF映画などの例を挙げながら平易な言葉で説いていきます。
原書の評判は経済を論じた本らしくなく、「一気読みしてしまった」「読むのを止められない」といった声が多数あがっていますが、実際、本書はまるで小説のように章を追うごとに話が深まっていき、ついついページをめくり続けてしまうみごとな構成になっています。
バルファキスは本書で、「誰もが経済についてしっかりと意見を言えること」が「真の民主主義の前提」であり、「専門家に経済をゆだねることは、自分にとって大切な判断をすべて他人にまかせてしまうこと」だと言っています。
大切な判断を他人まかせにしないためには、経済とは何か、資本主義がどのように生まれ、どんな歴史を経ていまの経済の枠組みが存在するようになったのかを、自分の頭で理解する必要があるのです。
本書のバルファキスのこの言葉を、私も若い人たちに贈りたいと思います。
「君には、いまの怒りをそのまま持ち続けてほしい。でも賢く、戦略的に怒り続けてほしい。そして、機が熟したらそのときに、必要な行動をとってほしい。この世界を本当に公正で理にかなった、あるべき姿にするために」
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◎現代の世界はどんな「仕組み」で動いている?
◎なぜ一部の人たちだけに「富」が集中するのか?
◎「経済危機」の裏に隠れているものは何か?
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もっとも大切な「知識・考え方・価値観」を
一気に詰め込んだ、驚くべき一冊。
ノーム・チョムスキー「最高の経済学者であり、唯一の政治評論家だ」
スラヴォイ・ジジェク「私が最も尊敬するヒーロー。バルファキスのような人物がいる限り、まだ希望はある」
ガーディアン紙「新たな発想の芽を与えてくれるばかりか、次々と思い込みを覆してくれる」
フィナンシャル・タイムズ紙「独自の語り口で、大胆かつ滑らかに資本主義の歴史を描き出した」
ザ・タイムズ誌「著者は勇気と誠実さを併せ持っている。これぞ政治的に最高の美徳だ」