ベスト10入りした長崎の「青雲」
今回の「国公立大医学部合格力」全国ランキングは、少なからず細かな順位変動があった。
1位は前回に続き灘(兵庫)である。国公立志向の強い関西勢では、前回8位から3位になった東大寺学園(奈良)、前回2位から5位の甲陽学院(兵庫)がベスト10の常連校として並ぶ。いずれも中高一貫男子校だ。前回5位だった大阪星光学院(大阪)は12位となった。
九州勢では、前回6位から2位の久留米大学附設(福岡)、同3位から4位のラ・サール(鹿児島)が例年通り実績を上げている。昭和薬科大学附属(沖縄)は前回の9位から2つランクダウンした。
北海道の北嶺は4位から6位に、愛媛の愛光は11位から8位となっている。ラ・サールとともにいずれも寮のある学校で、医学部を目指してじっくりと勉学に励むにはいい環境なのかもしれない。
7位から9位になった東海(愛知)は、私立大も含めた医学部合格者数では例年全国トップの実績を誇る。13位から10位となった広島学院(広島)はカトリック、東海は浄土宗がベースにある学校だが、いずれも中高一貫男子校だ。
このように、ベスト10は男子中高一貫校が7校を占め、残り3校が共学の中高一貫校となった。いずれも私立校である。
今回のベスト10の注目校は7位青雲(長崎)だろう。県立の長崎北や長崎北陽台を抑え、いまや県内のトップ校となった、男子寮も備える私立の中高一貫共学校である。前回の24位から急浮上したのは、国公立医学部合格者数が倍増したからで、例年、そのうちの半数は長崎大と佐賀大の合格者が占めている。
ここには首都圏の学校の名前がない。関西圏と比べて国公立の医学部が少なく私立医科大に進む生徒が多いこともある。最難関の東京大理科III類の募集定員は97人で、2020年の合格者数は101人だった。高校別で見ると、灘が14人、開成が13人、筑波大学附属駒場と桜蔭が7人ずつと、この4校だけで合格者の4割を占めている。こうした最上位層での競い合いでは、東京の難関校が顔を出している。