2度あることは3度あった緊急事態宣言
4月25日から3度目となる緊急事態宣言が東京、大阪、兵庫、京都に発出された。これで新型コロナ禍のまん延をいかほど抑制できるかは定かではないが、一つだけはっきりしたことがある。昨年に続き今年の受験生も、新型コロナ禍に向き合いながら入試までの約10カ月間を過ごすようになることだ。
例年、ゴールデンウイーク明けは、個々の学校や合同での学校説明会が始まる時期である。昨年の受験生は休校期間中ということもあって、この時期の説明会は軒並み中止された。その後も、文化祭や体育祭など学校の雰囲気を直に感じられる行事が中止もしくはオンライン開催に切り替えられ、リアルに学校に触れる機会が極端に制限されてしまった。
その結果、第一志望校はさておき、受験生は併願校選びにかなり苦労した。主に偏差値で判断した結果なのだろうか、まるで校風の異なる学校の併願も見られた。現状に鑑みると、今年もオンラインでの学校案内が主流になりそうである。
「塾のオンライン授業が要請されている状況では、昨年同様、受験生の学力の低下が懸念されます」(森上展安・森上教育研究所代表)。2022年入試の受験生は2年連続で厳しい環境下に置かれていることもあり、この点はかなり深刻だ。
昨年起きたことがそのまま今年も起きるのかといえば、それだけでは済みそうもない。事態はより深刻さを増しているからだ。
大阪在住の森上氏の身近な人も新型コロナに罹患(りかん)した。感染の自覚がないまま伏せっていたが、家族が病院に連れていったところ陽性と判明、即入院となった。翌日から症状が悪化し、重症病棟へ移った。体外式膜型人工肺(エクモ)の数は極めて限られている。呼吸困難でも特段の手を打つことはできず、予断を許さない状況が続いている。2年目の新型コロナ禍は、変異株により感染力も重症化リスクも強まっていることが改めて実感される。
大阪・豊中市の小学校で教職員と児童の集団感染が発生するなど、変異株は子どもへの感染力も強いことが明らかになっている。国の緊急事態宣言に合わせて市立小中学校は休校とせず、原則としてオンラインで授業を実施する考えを松井一郎・大阪市長が示したことで波紋が広がるなど、この先、対面授業が制約を受け、再び休校の可能性も念頭に置かなければならなくなってきた。
首都圏でも、緊急事態宣言が発出された東京、まん延防止等重点措置下にある神奈川県内3つの政令指定都市、千葉の東京寄りの5つの市(さらに千葉市など7つの市の追加を検討)、埼玉のさいたま市と川口市も、変異株と無縁ではいられないだろう。受験生のいる家庭は、今後どのように対応していったらいいのか。