私大医学部最難関の一角、順天堂大
第100回となった2024年の箱根駅伝(東京箱根往復大学駅伝競走)は、青山学院大が往路復路共に制して優勝した。一方で、13年連続65回目の出場となった順天堂大は17位に終わった。新制大学として1951年開学時に開設された体育学部から始まるスポーツ健康科学部が全国的に名をはせているものの、この大学のルーツは医学にある。
JR中央線「御茶ノ水」「水道橋」駅の間、神田川に沿って大学本部や校舎、医学部附属順天堂医院など高層の建物が林立する順天堂大本郷・お茶の水キャンパス。ここにある医学部医学科の24年度募集入学定員は140人と国公私立大医学部で最大規模となった。順天堂の学部学生の募集は、地域枠選抜や共通テスト利用選抜、研究医特別選抜など一般選抜のみである。大学に付属・系属校はなく、高大連携に近年は積極的とはいえ、指定校推薦枠もない。
慶應義塾大は別格として、順天堂大の医学部が難度的に私立大医学部御三家の日本医科大や東京慈恵会医科大と肩を並べるようになったきっかけは、08年度から6年間合計で学費を一挙に900万円ほど引き下げたことにある。6年間平均学費は、国公立大と私立大では10倍ほどの開きがある。私立大では、入試難度の低い大学の医学部は学費が高い傾向が一般に見られる。それだけに、学費を安くしたことで一気に難度が上昇した。その後、大阪医科薬科大や関西医科大、帝京大なども続いた。
この順天堂大が今回、初めて系属校協定を結んだ。その相手となったのが、学校法人宝仙学園(東京・中野区)である。母体は平安後期創建の真言宗豊山派の宝仙寺であり、学園は1927年に創立され、中野高等女学校から始まる。49年に新制高校となり、中学校と小学校と幼稚園も同時期に設立、保育科の短期大学もそろったことで、幼稚園から短大まで一貫教育体制が確立した。
短大は2001年に共学化、09年からは四年制のこども教育宝仙大学に改称した。この間、07年には中学に共学部理数インターが設置され、13年には中学校女子部が廃止されたことにより、中学は共学、高校は女子部と中学から一貫の共学部とが併存している。
この宝仙学園中学校共学部理数インターは、アドミッション・ポリシーに「日本一入試方法の多い学校」を掲げ、毎年のように新しい入試を考案して設定することでも有名だ。多くの志願者を集めるのは、近在の都立中高一貫校(富士や三鷹)にも対応する適性検査型入試である。
オーソドックスな2科・4科の他に、一般生向けに4科の総合問題を出す「新4科特別総合入試」、「プレゼン型(リベラルアーツ入試)」「プレゼン型AAA(世界標準)入試」「プレゼン型(グローバル入試)」「アクティブラーニング型(入試『理数インター』)」「読書プレゼン入試」「オピニオン入試」「英語AL入試」と盛りだくさん。これで毎年200人前後の生徒を集めている。ちなみに、四谷大塚(80R4)の偏差値は42(新4科特別総合)から47(3回2科・4科)という中堅校である。
高校からの入学者も含めた200人以上の卒業生による大学合格実績を見ると、GMARCHを中心に、早慶上理でも現役合格率はのべ20%超、私立大医学部医学科にも10数人が合格している。ちなみに順天堂大医学部には、例年2人前後が合格している。