
佐藤一郎
#6
マイナンバーカードと健康保険証を一体化する「マイナ保険証」に対して、国民から不安の声が絶えない。岸田首相は会見で国民の不安払拭に努める考えを示したが、専門家から見て、マイナ保険証の何が問題なのか。国立情報学研究所の佐藤一郎教授は「マイナ保険証はマイナカードの利便性を下げる」という。

#5
2023年6月に改正マイナンバー法が成立し、マイナ保険証への移行が話題になったが、国立情報学研究所の佐藤一郎教授は「この法改正では大きな変化が起きている。マイナンバーの利用範囲の拡大だ」「利用範囲拡大で、マイナンバーを人に知られることによる実害が出てくる」という。どのような問題が起こるのか。

#4
8月8日、政府はマイナンバーカードをめぐるトラブルを受けた総点検の中間報告を公表。マイナ保険証に他人の医療情報が誤登録されたケースが新たに1069件確認されたと発表し、累計は8441件になった。政府は「人為的なミス」を強調するが、国立情報学研究所の佐藤一郎教授は、「マイナンバーの誤登録は予期できた構造的な問題」だという。

第15回
通信教育大手「ベネッセホールディングス」の子会社「ベネッセコーポレーション」において、大規模な顧客情報が漏洩する事件が起きた。国勢調査に基づく人口推計で未成年者以下の半数の方の個人情報が漏洩したとも推計できる大規模なものだ。その大規模さゆえに、現在検討中の制度見直しに与える影響も懸念される。

第14回
先週、個人情報保護法の改正に関わる大綱がまとまった。筆者は昨秋以来、内閣官房の「パーソナルデータに関する検討会」委員として、この議論に深く関わってきた。技術者が法改正という制度設計に関わることにした理由は、ITが社会にもたらす課題は、もはや技術そのものでは解決できないという思いからだった。

第13回
コンピュータは物理世界をそのまま認識することはできない。物理世界の対象の代わりになるのがIDである。IDの割り当てが不適切だと、分析にならないか、非常に手間がかかる。実際、ビッグデータといわれている事例は、ID付けに失敗しているがために、処理が“ビッグ”になっているだけのことが少なくない。

第12回
いまや企業の基幹システムがパブリッククラウドで利用される時代。クラウドコンピューティングはその普及とともに、位置付けや使い方も大きく変化している。今回はInfrastructure as codeという注目の技術を中心に、情報システムの進化と現実社会への含意について考える。

第11回
今年に入って、IT系のメディアでは、ビッグデータに代わって、IoTやM2Mというキーワードが目立っている。いまIoTが注目される背景には、SNSやネットゲーム、ECなど、ネットの世界のデータへの活用が中心だったビッグデータから、現実世界のデータの活用に関心が移ってきたことがある。

第12回
経営者、識者の方々にアンケート形式でうかがった2014年を占う5つのポイント。第12回は、当サイトで「佐藤一郎のパースペクティブ」を連載中の気鋭のコンピュータ・サイエンティストに、ITをテーマに2014年に注目する動きを解説してもらった。

第10回
小売業などでは、出店先の商圏を調査するためにデータ分析のニーズがある。例えばショッピングモールにテナントを出すうえで、フロアーの顧客比率を調べたい。またはオフィス街の店舗などが近隣企業の社員構成などを調べたいというものだ。皆さんならばどのようなデータをどのように分析するだろうか?

第9回
半導体技術を使ったチップスケール原子時計の製品化が進んでいる。超高精度で時刻を測定できる原子時計の小型化と低価格化が進むことで、サーバなどの高性能コンピュータに原子時計が内蔵されることは十分想定される。それは従来のネットワークのあり方をも変える技術となるかもしれない。

第8回
昨今、にわかに行政オープンデータに関する議論が増えている。そもそも、データは使ってこそ価値があるわけで、行政機関が持っているデータで、公開してもいいデータは積極的に公開すべきだ。ただ、昨今の議論は近視眼的で、行政の負担を上げ、本来の可能性を閉ざすものになりかなねない。

第7回
世界で一番古いビッグデータの事例の一つは19世紀末の米国の国勢調査でしょう。米国の国勢調査は、日本を含めて多くの国の国勢調査の原型であり、民主主義に不可欠な基盤です。この最古のビッグデータの集計作業を高速化するための手段が、ITの誕生にも大きな影響をあたえました。

第6回
iPhoneやiPad向けのソフトウェア開発では、それまであまり使われていないプログラミング言語が主に使われている。アップルはマイナーな言語を選択した方が、新しいデバイスにふさわしい新しいアプリケーションが集まると考えていたのではないか。

第5回
3DプリンターとGoogle Glassの共通点とは? どちらも発明自体は約20年前なのに、いまになって話題になっているということ。特許が足枷となり、有益なのに製品化ができなかった技術が、特許の有効期間切れとともに市場が広がるケースは少なくない。

第4回
世界で一番速いスーパーコンピュータの研究開発も重要だが、不揮発性メモリでは国内の半導体研究は東芝をはじめとして世界をリードしている。それに加え、世界的にいまだ手付かずの不揮発性メモリ向けのソフトウェア技術の研究でも日本が先行できれば、産業的な効果は非常に大きいはずだ。

第3回
新しい技術の登場によって、主流の技術が無用化したり、逆に思いもよらない応用が広がることがある。そうした大きな変化を起こしうる技術として、不揮発性メモリが注目されている。技術的限界を迎えつつあるDRAMを代替する次世代メモリとして、コンピューティングにどのような影響を与えるのだろうか。

第2回
PC(パソコン)の時代の終焉は近いと、しばしばささやかれるようになっている。では、その次に来るポストPCとはどのようなコンピュータなのだろうか? スマートフォンなのか、それともタブレットなのか。先のことはわからないが、それらが、ポストPCになるためには不可欠な要件がある。

第1回
最新の高性能スマートフォンに搭載される集積回路は、最小加工寸法(プロセス)が細かいほど、集積度が上がり、駆動速度も早くなり、駆動電流も全般に低くなる。だからメーカとしてはなるべく細かいプロセスのものを搭載したいのだが、そうしたプロセッサを供給できる工場は限られている。
