青松英男
日産をV字回復させたカリスマ経営者が「失敗」したのは、グローバル化などが進む中で日本企業が抱える「6つ構造問題」で正しい解を出せなかったからだ。日本人経営者にも他人事ではない。

シャイアー社の巨額買収を進める武田薬品工業の株価が下がったのは理由がある。株主価値最大化という資本の論理が貫徹されているのか、投資家は疑問視しているからだ。日本企業の海外M&Aで失敗が多いのもこれが原因だ。

ビジネスで大事なのはモノを動かす合理性とヒトを動かす情緒だ。二つがあわさって「人間力」という“競争力”がつく。そのためには経営書よりも古典を読むことだ。お薦めは「源氏物語」と「道徳感情論」だ。

26年ぶりの高値に沸いていた東証平均株価だが、米国株式市場の過去最大の下げを引き金にした同時株安で急落した。これまでの「高株価」は日本経済や企業の力を反映した本物なのか。資本や労働生産性は米国に大きく遅れをとり、GDPや企業「価値」などの実力が反映されたものでない。
