吉田健一郎
EU離脱の英国はEUとの新たな経済貿易協定や米日などとのFTA締結で独自の自由化路線を目指すが、EUとの新協定締結期限は短く、英経済の潜在GDPもEU残留より低下するとの見方が大半だ。

総選挙での保守党大勝で来年2月にブレグジットが実現する道筋がついた。2020年年末までの移行期間中にEUとの自由貿易協定が結ばれるかが次の課題だが、政治的混乱からブレグジットが具体化で動き出す。

ブレグジットを巡る綱引きで解散総選挙の可能性が強まるが、保守党はばらまきの財政拡張政策を、労働党も極端な所得再分配政策を掲げる。英国はブレグジットとは別に経済政策の問題を抱える。

英国のEU離脱(Brexit)は土壇場で離脱期限が10月末に延期された。“最終決着”の行方を決めるのは、英国のメイ首相、コービン労働党党首とマクロン仏大統領の「3人のキーマン」に絞られた。

離脱期限が延期されたブレグジットは、目先は「3つのシナリオ」が想定される。最終的には「合意のある離脱」になる可能性が高い。EU単一市場の枠を超えたグローバル戦略が英国の「国益」と判断されるだろう。

英国のEU離脱はEU首脳会議で承認された離脱協定を英下院が承認するかどうか、山場を迎える。「合意なき離脱」のリスクもあり、企業は危機管理プランや欧州でのサプライチェーン再構築などが急務だ。
