紀尾井啓孟
「安倍政権の継承」を掲げた菅義偉内閣が、人事・組織変更で独自色を見せ始めた。組閣・党役員人事では、主要派閥の意向に一定程度配慮したが、政権運営が軌道に乗り始めるや否や、首相の権限が及ぶ範囲で巧妙な人事・組織変更を行っている。前政権から続投したスタッフの位置付けにも変化がみられる。官邸中枢の動きをチェックする。

菅義偉首相が閣僚人事を発表すると、「新味なし」「派閥均衡」といった批判気味の報道が相次いだ。しかし実際は、菅首相の深謀遠慮がうかがえる「恐るべき布陣」である。その理由について、注目の5閣僚と彼らが担う21の職務を通して、詳しく解説しよう。

第2次以降の安倍晋三政権で7年8カ月余にわたって官房長官を務めた菅義偉氏が9月16日、第99代内閣総理大臣に選出される。新首相は「改革志向」が強い政治家として知られ、政策を具体的に語る点が最大の特徴だ。今回の自民党総裁選挙でも、地方銀行の統合・再編、携帯電話料金の引き下げ、不妊治療の保険適用、デジタル庁創設などを矢継ぎ早に掲げた。押さえておきたいのは、政策の方向性に大きな特徴がある点だ。どんな分野に関心があり、どのような改革を進めていくのか。菅氏の発想や視座を読み解き、規制改革に基づく「スガノミクス」を徹底解剖する。
