「安倍政権の継承」を掲げた菅義偉内閣が、人事・組織変更で独自色を見せ始めた。組閣・党役員人事では、主要派閥の意向に一定程度配慮したが、政権運営が軌道に乗り始めるや否や、首相の権限が及ぶ範囲で巧妙な人事・組織変更を行っている。前政権から続投したスタッフの位置付けにも変化がみられる。官邸中枢の動きをチェックする。(政治ジャーナリスト 紀尾井啓孟)
官邸スタッフ事実上の「最上位」が
交代したと判明した決定的瞬間
10月20日、インドネシアの首都・ジャカルタで、菅義偉首相とジョコ・ウィドド大統領との首脳会談が行われた。会談の様子を映したテレビのモニターを見ていたあるベテラン官僚は、一瞬目を奪われた。
安倍政権から菅政権への移行を受けて、官邸スタッフの事実上の最上位に位置する人物が交代した――。そのことが判明した瞬間を目撃したからだ。