菅義偉首相が閣僚人事を発表すると、「新味なし」「派閥均衡」といった批判気味の報道が相次いだ。しかし実際は、菅首相の深謀遠慮がうかがえる「恐るべき布陣」である。その理由について、注目の5閣僚と彼らが担う21の職務を通して、詳しく解説しよう。(政治ジャーナリスト 紀尾井啓孟)
菅内閣は「恐るべき布陣」
新鮮味なし、派閥均衡の批判は的外れ
菅義偉内閣が9月16日に発足した。自民党総裁選挙で掲げた携帯電話料金の引き下げ、デジタル庁創設などの目玉案件が一気に動きだしている理由は、担務を変更し、経験者を中心に据えた閣僚人事にある。続投・再入閣が20人中15人を占めたことで「新鮮味がない」と指摘され、各派からバランスよく登用されたことをもって「派閥均衡」と批判気味に報じられているが、内実は異なる。霞が関の構造、議員の適性・能力を知り尽くした菅首相ならではの陣容である。
閣僚人事を見る上で、人選よりも先に注目すべきポイントがある。内閣府特命担当大臣を中心とした担務変更である。前内閣である第4次安倍第2次改造内閣と菅内閣の「担当」を比較した次ページの表(5閣僚を抜粋)に沿って説明する。便宜上、色分けをし、番号を振ってある。