村上達也
大阪府や兵庫県で店舗展開する関西スーパーマーケットをめぐって、首都圏が地盤のディスカウントスーパーのオーケーと、阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)が争奪戦を繰り広げています。関西スーパーには、オーケーの誘いを袖にしてH2Oの下に走らせる「地域特有の事情」があるのではないでしょうか。

新型コロナウイルスの感染拡大で深刻な経営状態にある百貨店業界。トップは危機の今こそ社員を鼓舞し、新たなビジネスモデルを提示すべきだが、物足りない。子会社での成功体験にこだわる三越伊勢丹ホールディングス、長老会長をめぐって内紛の兆しが見える高島屋に未来はあるのか。

3回目の緊急事態宣言で、再び都心での臨時休業を強いられる百貨店。このたび2021年3月期通期決算を公表した三越伊勢丹ホールディングスは、あるべき百貨店の姿に原点回帰する方針を掲げており期待が持てるが、やはり難点も見える。西の雄・阪急阪神百貨店を擁するエイチ・ツー・オー リテイリングも独自の戦略を提示したが、その課題も指摘しておく。

緊急事態宣言の「再々発令」が目前に迫っており、今回は東京都、大阪府とも百貨店などの商業施設に休業要請をする考えです。昨年春の宣言下では、ほとんどの百貨店が「デパ地下」を除いて要請に応じましたが、甚大な赤字を計上し青息吐息です。今回は業界団体が政府などに営業継続を訴えていますが、休業すべきはむしろ、デパ地下ではないでしょうか。

新型コロナウイルスの感染拡大で臨時休業を強いられ、巨額の最終赤字に沈んだ百貨店。2021年2月期通期決算を発表した高島屋とJ.フロント リテイリングは、コロナの収束を見据えた立て直しをうたう。だが、衣料品販売では独自色が薄く、デジタル戦略も心もとない。コロナ前から衰退産業といわれてきた百貨店業界の再生は容易ではない。
