大阪府や兵庫県で店舗展開する関西スーパーマーケットをめぐって、首都圏が地盤のディスカウントスーパーのオーケーと、阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)が争奪戦を繰り広げています。関西スーパーには、オーケーの誘いを袖にしてH2Oの下に走らせる「地域特有の事情」があるのではないでしょうか。(リテールジャーナリスト 村上達也)
長崎屋に似た関西スーパーのロゴ
オーケーは破格の64%上乗せだが…
大阪府や兵庫県を中心にスーパーマーケットを展開する関西スーパーのロゴは、アルファベットの頭文字「K」を鳥のようにあしらったもので、「N」を鳥のようにあしらった長崎屋のそれによく似ています。
長崎屋は経営難から、ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス傘下に入り今に至りますが、正式な会社名を関西スーパーマーケットと称する同社もまた経営難ではないにせよ、他の資本の下に入ることになりそうですが、その様相は争奪戦となっています。
2021年度の営業収益1309億円、当期純利益20億円の関西スーパーに対しては、横浜市に本社を置く低価格スーパーで、関西スーパーの株式を約7%保有するオーケーが、6月に株式公開買い付け(TOB)を提案。
しかし、阪急阪神百貨店を擁するエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)は8月31日、関西スーパーを、傘下のスーパーであるイズミヤと阪急オアシスに経営統合させると発表。関西スーパー自身がオーケーの提案を拒否し、H2O傘下入りを強く希望している状況です。
オーケーは関西スーパーの9月2日の終値に64%のプレミアムを上乗せした2250円という破格の買収価格を提示しています。
一方でH2O側は、自社の100%子会社であるイズミヤと阪急オアシスの株式を、関西スーパーの株式と交換し、これらスーパー3社を傘下に置く中間持ち株会社として上場を維持する方針です。