新宿伊勢丹緊急事態宣言で再び臨時休業の危機が迫る百貨店。「デパ地下」よりも、むしろ営業を続けるべき売り場がある Photo by Satoru Okada

緊急事態宣言の「再々発令」が目前に迫っており、今回は東京都、大阪府とも百貨店などの商業施設に休業要請をする考えです。昨年春の宣言下では、ほとんどの百貨店が「デパ地下」を除いて要請に応じましたが、甚大な赤字を計上し青息吐息です。今回は業界団体が政府などに営業継続を訴えていますが、休業すべきはむしろ、デパ地下ではないでしょうか。(リテールジャーナリスト 村上達也)

東京、大阪ともに百貨店の休業を視野に
売上高8~9割減で大打撃だった昨年春

 新型コロナウイルスの変異株の勢いが止まりません。年明けに見送られた百貨店など大型商業施設は今回、昨年来の臨時休業を強いられるのでしょうか?

 大阪府は4月20日、緊急事態宣言を発令するよう政府に要請することを正式に決定。吉村洋文知事は、すべての飲食店に午後8時までの時短営業を要請するとともに、百貨店などの商業施設やパチンコ店などの遊興施設にも休業要請する考えを示しています。東京都も同様に、商業施設などの休業が必要だと考えています。

 さて、昨年春の臨時休業で百貨店が被った損害は甚大でした。下記は東西主要店舗の昨年4月の売上高の対前年比です。

 伊勢丹新宿本店    マイナス79.5%
 三越銀座店      マイナス94.9%
 阪急百貨店うめだ本店 マイナス85.9%
 高島屋大阪店     マイナス84.8%
 大丸心斎橋店     マイナス92.8%

 この結果、高島屋の2021年2月期の最終損失は339億円、大丸松坂屋百貨店を擁するJ.フロント リテイリングは261億円におよびました。3月期決算の三越伊勢丹ホールディングス(HD)は450億円、阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オー リテイリングは220億円の最終損失を見込んでいます。