会社主体の働き方は終わり
個人がキャリア形成の主体になる時代へ

 CSAの概念が生まれた背景。社員一人ひとりがよりよいキャリアを築くにはどうしたらいいか。どういう能力や考え方を持たせるべきか、と考えたことにあります。

 最初に思い浮かんだのは「Employability」でした。マッキンゼーやボストンコンサルティングなど、アメリカのコンサル会社が1980年代によく使っていた言葉です。

 戦略コンサルは仕事が厳しく、社員の多くが3年から5年ぐらいで辞めてしまいます。結局、1割の社員しか残らないという世界。ただし、そんな厳しい環境で働けば「Employabilityが身につく」と言われていました。その謳い文句があるから、戦略系コンサル会社は成長志向の強い若手に人気があるのです。

 私はそこに違和感を覚えました。Employabilityとは、字義通りに解釈すると、「今いる会社に雇用され続け得る力、または、就職や転職時に雇用され得る力」。会社主体、雇用主側主体の考え方です。

 経済全体が成長している時代であれば、それでもよかったかもしれません。ビジネスの勝ち筋が明確で、モノをつくればつくっただけ売れる時代。上司が常に正しい方向性を示す。みんなはそれに従う。そうすれば成果を上げることができた時代と言えるでしょう。強力なリーダーシップのもとで勝つ体験を重ねる。社員はみな成長できたに違いありません。

 時代は大きく変わりました。経営者にも上司にも正解はわかりません。みんなで試行錯誤しながら答えを見つける。そんな時代になりました。

 会社に頼り切りになることはもはやできない。会社主体のキャリアでは危険きわまりない。これからの時代は、個人がキャリア形成の主体になる時代なのではないか。一人ひとりがCareer(キャリア)を自らの意志でSelect(選択)できるAbility(能力)を身につけなければならない。私はそう感じたのです。

 CSAは、経営に役に立つ概念です。「キャリア自己選択力」を多くの社員が身につければ、会社はよくなります。

 逆を考えれば、わかりやすいでしょう。その会社でしか通用しない人材ばかりの集団だとしたら、会社はどうなるでしょうか。変化の激しい時代には対応できない。