環境変化が激しい現在。経営者が取り組むべき課題は多岐にわたり、問題は複雑さを増しています。まさに経営者受難の時代と言えるでしょう。この困難な状況においても、経営者は会社を発展させ続けなければなりません。1つの解決策と言えるのが「CSA経営」です。「CSA経営」は経営をシンプルに、そして楽にします。「CSA経営」とは何なのか。新刊『エン・ジャパンに飛躍を支えたCSA経営』の刊行を記念し、イントロダクション部分を特別公開します。
40年間、経営者として考え続け、
社員とともに磨き上げたCSA経営
本書を手に取っていただき、ありがとうございます。
私は2022年3月をもってエン・ジャパンの代表を降りました。大変失礼ながら、クライアントのみなさま、当社を支えてくださった多くの方々にご挨拶することを怠りました。2年後の今、お詫びを兼ねて、この本を執筆しました。
一人創業以来40年。これまで私たちが培ってきたこと。私が経営に関わる中で考えてきたことをお伝えしたい。そうすることで、少しでも、みなさまのお役に立ちたいと思っています。
同時に、経営を引き継いでくれた経営陣、社員のみなさんへのメッセージにもなれば、と考えています。
何が役に立つか。お客様に少しでも具体的に導入して喜んでもらえるものは何か。この2年間で考えました。それをまとめたものが「CSA経営」です。「CSA経営」は私が原型をつくり、社内で実践。社員とともにこれまで磨き上げてきました。
CSAとは「CareerSelectAbility(キャリア自己選択力)」の略語で、「どこでも活躍できる力」を意味します。私の経営を一言でいうならば、「縁あって入社してくれた仲間がCSA(どこでも活躍できる力)を習得し、活躍し続ける経営」です。この経営の考え方を私は「CSA経営」と呼んでいます。
エン・ジャパンといえば、人材採用支援の会社だとイメージされると思います。しかし、この本では採用にはあまり触れていません。採用に関しては別の機会に譲ります。採用は企業経営の要ではありますが、ピースの1つです。採用以前に経営全体を考えなければなりません。
本書で述べる「CSA経営」の実践は「どこでも活躍できる優秀な人材」を社内で増やすこと。そうすると、優秀な人材と一緒に働きたいという人が集まる会社になります。採用力の強化にもつながっていくのです。
「CSA経営」は複雑で多岐にわたる経営という仕事をシンプルにします。経営は、つまるところ「人」です。会社をどこでも活躍できる人材で満たす。さまざまな経営課題は自然と解決されていきます。魅力的な商品・サービスをつくる。顧客に届ける。会社を管理・サポートする。すべて人が行うものです。「採用した人材を社内外のどこでも活躍できる、通用する人材に育成すること」。「その人材が自社で活躍し続けてもらえる環境をつくること」。経営者はこれらに集中すればよいと考えています。