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弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

本格的な委任状争奪戦に入ったイオン・CFSの争点

永沢 徹 [弁護士]
【第10回】 2007年12月19日
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 イオンと、CFSコーポレーション(CFS)が、ついにプロクシーファイト(委任状争奪戦)に突入することになった。

 CFSはイオンが筆頭株主のドラッグストア大手で、東海地方と首都圏を中心に「ハックドラッグ」の名前で店舗展開をしているが、調剤薬局大手アインファーマシーズ(アイン)との経営統合を目指している。CFSの15%の株式を持つイオンは、かねてよりアインとの統合見直しを要請していたが、先日、CFSはこれを拒否し、1月22日の臨時株主総会で統合を図ると発表した。対するイオンは、12月17日に統合を否決するための委任状勧誘を開始したと発表。株主総会に向け、株主を奪い合う委任状獲得戦が繰り広げられる。

 ドラッグストアや調剤薬局は、M&Aが盛んな業界である。特に調剤薬局はまだまだ成長の余地がある。医薬分業が進み、処方箋による調剤薬局での医薬品購入比率(処方箋受取率)は、10数年前にはおよそ2割だったものが、現在では5割を超えている。それにともない、調剤薬局の役割が大きくなっているのだが、調剤薬局の規模はそれほど大きくない。売上の一番多いチェーンでも1千億円には満たない。

 医薬品業界は、製薬メーカー→卸→小売薬局という流通経路を辿るが、卸会社は度重なるM&Aの結果、完全に大手4社の寡占状態で、製薬メーカーも統合が進んでいる。それに比べると、調剤薬局はまだまだ規模の利益を追求できる可能性がある。今回の経営統合が実現すれば、売上ベースではマツモトキヨシに次ぐ規模になる。しかも医薬品販売額に関しては、ナンバーワンに浮上するという。

イオンは統合比率が不利だと反対

 17日にイオンが発表したリリースによると、統合に反対する理由を、2つ挙げている。以下に引用しよう。

1)CFSの業績が悪化し、株価が低迷する時期に決定された、ことさら不利な株式移転比率であること。特に、CFSがV字回復を表明し、単独での業績向上をめざしながら、不利な移転比率による統合を推し進めようとすることは、株主軽視を経営判断と言わざるをえないこと。

2)主として医療用医薬品を扱う調剤薬局のアインと、事業モデルの異なるドラックストアのCFSとの統合はシナジー実現の可能性が極めて薄弱である事が予想されること。加えて、CFSのスーパーマーケット部門の弱体化を招来するなど、本統合は企業価値向上に繋がらないこと。

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永沢 徹 [弁護士]

1959年栃木県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験合格。卒業後の84年、弁護士登録。95年、永沢法律事務所(現永沢総合法律事務所)を設立。M&Aのエキスパートとして数多くの案件に関わる。著書は「大買収時代」(光文社)など多数。永沢総合法律事務所ホームページ


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